過払い金返還請求バブルは終わったのか?

借金返済中の過払い金請求バブルは、一時期、弁護士や司法書士の飯の種として重宝されました。利息制限法に関する最高裁判所判例が確立され、それによって、今まで払いすぎた利息が戻ってくるということがわかった途端、消費者金融系の会社は顔色を青くし、一方の弁護士や司法書士などの法律家は、ここぞとばかりに大量の広告を打ち始めました。

過払い金事件とは、払いすぎた利息のうち、一部が無効であると判断されたことによって、引き直し計算をし、払いすぎた分のお金の返還を請求できる、という類型の事件を指します。たとえば、弁護士業界においては、債務整理専門、過払い金返還請求事件専門を大々的に掲げる事務所が作られ、そのような事務所は時代の流れに乗り、膨大な金額の過払い金を回収することに成功しました。

しかしながら、現在、過払い金返還請求バブルは終わったように大多数の法律家からは理解されており、弁護士の間でも、「債務整理事件を受任しても、過払い金が発生する案件はほとんどない。案件のほとんどは単純な多重債務問題で、破産、個人再生、私的整理のいずれかの手続きをするしかない。弁護士としてのうまみはもう味わえない」という意見を聞くのがほとんどです。

実際、一般的な法律事務所においては、明らかに過払い金に関連する案件は少なくなっています。その原因としては、もともと限られたパイであった過払い金案件がすでに大量に処理されてしまったことが挙げられるでしょう。また、消費者金融系の会社は、最近の貸出については、最高裁判所の判例を踏まえた上での利率を設定して貸出をしているので、そもそも過払い金が発生するような取引ではなくなってしまった、という点も挙げられます。

とはいえ、過払い金返還請求に関する案件が完全になくなったということではなく、現在でも、破産や個人再生、私的整理の手続きを進める中で、偶然、過払い金返還請求ができるようなケースに遭遇することもあります。

したがって、弁護士や司法書士などの専門家は、過払い金返還請求バブルが弾けてしまったという先入観を持って、過払い金が発生するかどうかを診断するために必須の作業である引き直し計算を疎かにしたり、または、借金があるからといってすぐ破産を提案するなどといった、安易な道へ進まないように注意する必要があります。過払い金返還請求ができる案件にも関わらず、破産申立の道を依頼者に提案することは、専門家としての責務を果たしたとは決して言えないでしょう。